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民医連新聞

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いのち守るたたかい地域から (3)テーマ別対話集会 東京 中野社保協

国保・貧困・介護で交渉

 来春の統一地方選に向け、各地の自治体運動を連載します。今回はテーマ別に東京・中野区と対話集会を開く中野社保協(社会保障推進協議会)の活動から。健友会・江古田沼袋診療所の塚本晴彦事務長の報告です。

 健友会も参加する中野社保協は一〇月二九日、中野区と「国保・生活保護」「子どもの貧困」「介護」の三つの対話集会を開き三七人が参加。区民の立場に立った区独自の努力、政策を求めました。
〈「国保・生活保護」集会〉
 区民の平均所得額が八年間にわたり最低水準で停滞している状況や、生活保護世帯数が高齢者や四〇代で特に増えているなど、区民の生活困難が明らかに。
 国民健康保険料の納付相談の際、生活不安のためにかけている民間生命保険の保険料を国保料の滞納分に回すよう言われたケースや、生活保護を申請したが、 家賃証明書を持っていかなかったことを理由に申請を受け付けてもらえなかった事例などが紹介され、参加者から「もっと区民に親身な対応を」との発言があり ました。
〈「子どもの貧困」等集会
 四年生大学への進学率は、東京都全体で七二・五%。ところが、区内の生活保護世帯の生徒の場合、専門学校を含めた大学等進学率は四四・四%と大きな格差があることが分かりました。
 チャイルドラインの相談員は「低学力と思われる子どもからの電話が増えた。身近にインターネット環境がない子も。悩みの背景に貧困を感じる」と発言。社 保協は「子どもの貧困対策法・大綱」を受け総合的な施策をすすめる部署を明確にするよう求めました。
 また、就学援助に関しても対話に。中野区は生活保護基準引き下げに連動し、就学援助の認定基準を引き下げた数少ない自治体です。この結果、小学生九九人 と中学生四六人が援助から外されました。対話の中で援助を継続するための予算は約一二〇〇万円であることが明らかに。社保協は「四〇〇億円を超える区基金 の活用などで救済すべき」と求めました。
〈「介護保険」等集会〉
 特別養護老人ホームの建設計画が不十分で、区内の待機者が一二七五人にのぼると指摘しました。国の介護保険制度改悪で、総合事業が自治体に委託されます が、区における同事業の具体化はすすんでいません。要支援者の介護を「多様なサービス」と称する事業に任せ、質が担保された専門的な介護から排除する可能 性が明らかになりました。

* * *

 テーマ別集会は今回で二度目。事前に要望書を提出し回答を分析したうえで、当日の議題を 絞ってあらかじめ区に知らせます。多くの議題を短時間でこなすより、充実した交渉になります。区民の実態を住民に最も近い行政機関と共有し、共に考えるス タンスも意識。国保の都道府県単位化や介護の総合事業化が控えており、今後は地方政治に目を向け、働きかける必要がますます大きくなっています。

(民医連新聞 第1585号 2014年12月1日)